朽ちることのないカジノカーペットの魅力

カジノのデザインは大変に魅力的なものですが、その魅力は驚くほどありふれた所にさえ溢れています。ゲーミングマシン、空気、そして椅子ですら、注目に値します。ですが、客が何よりも目を惹かれるのが、その足元に広がっているもの、そう、カーペットなんです。

カジノを彩るカーペットには数多くの種類があるように見えますが、実は区別しやすいんです。格別に明るい色をカラフルに組み合わせることで、歓喜と錯乱とのバランスを取っているのです。こう考えると、なぜカジノの客がカーペットに惹かれるのか、お分かりいただけると思います。

私は2005年から自分のウェブサイトでカジノカーペットの写真を公開し始めました。全国のカジノカーペットの写真を集めたギャラリーが5つにもなり、知らない間になぜかカジノカーペット関係の「専門家」と呼ばれるようになりました。カジノ用のカーペットを買ったこともデザインしたこともないのにです。そのうちカジノカーペットを売ってくれないかという要望が来るようになり、その要望がだんだんと要求に変わり始めました。結局、これでは自分の手に負えないと感じ、サイトから写真を削除することにしました。

ただ今でも、たまに記者の方から「カジノカーペットを大統一理論的に説明してください」といった内容の電話がかかってくることがあります。カジノカーペットはなぜあのようなデザインになるのか、と。

テリエン・ヘイル氏は、2002年からカジノカーペットを制作しています。それまではデザイナーとして働いていたのですが(「ベネチアン」の装飾を担当していました)、UNLV Alumni Centerでの展示をきっかけに、アイルランドのメーカーであるUlster Carpets社から声がかかりました。

ヘイル氏の作品は、ザ D ラスベガス、レッド ロック カジノ リゾート & スパ、ベラージオ、パリス ラスベガス リゾート & カジノ、ザ ミラージュ ホテル & カジノ、ウィン ラスベガス カジノといったカジノで披露されました。ヘイル氏は現在、世界的なホスピタリティ・カーペット業者であるBrintons社に所属しています。さてそれでは、カジノのカーペットはどのようにして作られているのでしょうか?どんな色や模様ならギャンブルしたいという気になるのか、いろいろ実験している心理学者の1団でもいるのでしょうか?必ずしもそういうわけではありません。ただ、デザインの過程においては、ベテランからのアドバイスが豊富に採用されます。カジノ界では、こうしたベテランには事欠きませんからね。

通常の場合、「カジノがデザイン会社を雇うのが一般的です。私たちデザイン会社はクライアントから要望を伝えてもらい、それを私が解釈していきます」とヘイル氏は説明しています。例えば、ベラージオの場合は、「モダンなペイズリー」という基本コンセプトが指定されたブリーフィングから始まりました。

こうしてまずクライアントと話し合った後で、デザイナーは色を選択し、模様をいろいろ試してみます。この過程には最低で1週間、時には数か月かかることもあります。カーペットデザイナー、インテリアデザイン業者、クライアントの3者が柄に合意したら、色調や織り方を確認するための試作品の作成に移ります。

床材と家庭用カーペットとの関係は、ベラージオの噴水と裏庭の滑り台との関係のようなものです。ヘイル氏によると、ほとんどのカジノでは、Axminster社のカーペット用素材(ウール80%ナイロン20%の混紡)をジュートの裏地にU字型に縫い付けることで耐久性を高めた生地を採用しています。こうした耐久性は、日に何千回という、文字通りの「客足」に耐えなければならない表面には欠かせない要素なのです。

「この生地は長持ちします」とヘイル氏は説明します。ちなみに、柄が長持ちするそうです。それに、決して安いものではありません。自宅の娯楽室用にどうしても欲しいと思った方は、1平方ヤードあたり35ドル~42ドル払う覚悟をしてくださいね。しかも、パッドは別料金です。

カジノカーペットがどうしてこんなに独特なのかというと、「インテリア装飾の残りの部分のパワフルな釈義に基づいたもの」だからだ、とヘイル氏は説明しています。「基本的にカジノカーペットとは独立した芸術作品なのであり、これによってカジノの雰囲気が決まり、カジノをフルに体験しているという気分にさせるのです」

何よりも、高品質のカジノカーペットは汚れを隠すのに優れています。ただ、それだけではありません。カジノカーペットでは、色の選択にも気を使います。客から容赦なしに何度となく踏みつけられても鮮やかさを失わないような色を選ぶ必要があるのです。例えば、近接色3色を選んでしまうと、時間とともに「濁った色」に変色してしまいます。