世界の画壇の最高峰

レンブラント・ハルメンソーン・ファン・レイン(1606~1669)は、光と影を巧みに操ることで知られる17世紀のオランダ人画家です。レンブラントの作品の多くは極めて写実的であり、史上稀に見る自画像画家として広く認められています。自画像以外でも、聖書や神話の場面を描いた画家としても知られています。以下に、レンブラントの作品をいくつかご紹介します。

  1. 「夜警」

フランス・バニング・コック隊長および市民隊17名から依頼されて制作された傑作で、自警に出動する一団を描いています。写実性、巨大なスケール(11.91フィートX14.34フィート)、光と影の見事な使い方、そして人物がキャンバスから現実世界に飛び出してくるような感覚など、数多くの点から高く評価されています。

オランダの黄金時代を代表する作品であり、集団肖像画としても、これほど有名な絵画は世界中ほかにありません。

  1. 「ガラリアの海の嵐 」

雷雨の中でガラリアの海をなだめるイエスという聖書の物語をレンブラントが描いた傑作です。レンブラントの第一アムステルダム時代(1631年〜1635年)に制作された作品で、レンブラントの唯一の海景画であると同時に、巧妙なやり方で盗まれた絵画としても知られています。この事件はアメリカ史上最大の美術品強盗事件とされており、未だに解決されていません。

  1. 「ダナエ」(1636)

ダナエはギリシャ神話に登場する王女で、ダナエの息子が自分を殺すという予言を受けた父アクリシオスによって青銅の牢に閉じ込められていました。一方、ゼウスはダナエが欲しくてたまらず、ある夜、黄金の雨と化してダナエの部屋に忍び込み、ダナエを妊娠させてしまいます。

レンブラントは、この傑作を描くにあたり、ダナエの肉体的容姿よりも、その熱狂的な心情を主に描こうと決めました。興味深いことに、最初のモデルは自分の妻だったのですが、10年後に愛人の顔をモデルとして顔部分を描き換えたといいます。

  1. 「放蕩息子の帰還」 (1669)

聖書物語を題材にした作品で、全財産を浪費して惨めな状態で帰ってきた息子を、父親が両手を広げて抱きしめる姿を描いています。手前の心温まる許しの姿と、奥の嫉妬と怒りに満ちた弟の表情が、対照をなしています。

レンブラントの晩年に描かれたこの作品には、光と色を使ったその表現力の高さが現れています。当然のことながらこの作品は専門家によって、バロック絵画を代表する絵画であり、レンブラントの最高傑作であるとみなされています。

  1. 「ヤン・シックスの肖像」(1662)

ヤン・シックスは裕福な実業家であり、オランダ黄金時代に文化人として名を上げました。そして何よりも、レンブラントの親しい友人の一人でした。ここでは、ヤン・シックスが手袋をはめながら外出の準備をしている姿が描かれています。レンブラントはこの作品で、手や手袋、コートなどを力強い筆致で美しく描き込んでいます。

しかしながら、この作品で最も際立っているのは、シックスの顔です。レンブラントはこの顔部分を何度も修正したと言われていますが、一瞬放心状態になった表情とはまさにこれだ、と観る者を納得させる描き方で描いています。